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「美術批評とSNSの効用」『aica JAPAN NEWS LETTER ウェブ版 美術評論家連盟会報』7号

表題の小文を寄稿しました。
媒体のタイトル通り、ウェブ版(PDF)なので、ご一読いただければ幸いです。

http://www.aicajapan.com/ja/%e3%82%a6%e3%82%a7%e3%83%96%e7%89%88%e4%bc%9a%e5%a0%b1-%e7%ac%ac7%e5%8f%b7-%e7%89%b9%e9%9b%86%e3%80%8c%e5%9f%ba%e6%ba%96%e7%82%b9%ef%bc%88%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%86%e3%83%aa%e3%82%a2/

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# by rnfrst | 2017-11-27 11:30

【展評】湯川隆彫刻展

 今日の私たちは、彫刻を捉えるしかたが、とてもわからなくなっている。なぜそうなのか、経緯を記してみる。
 西洋美術では、絵画は「タブロー」という運搬可能かつ比較的堅牢な形式を生み出すことができた。壁画や建物の構造物の一部となっていた彫像などは、そもそも建築の一部に従属するものであったが、建築という拘束から徐々に離れ、絵画にせよ彫刻にせよ、各々の自律したジャンルであることを主張してきた。
 しかし、20世紀前半の「抽象化」の時代を経て、それが極まった到達点で絵画・彫刻というジャンルの自明性は解体してしまい、今日の「現代美術」においては、通俗的かつ便宜的に「平面・立体」などと呼ぶこと自体ナンセンスなほど、いかなる媒体に基づくであれ、それが「美術」と認定されるか否かのみによって、美術作品であるというような、相対化の極みにまで到達してしまった。
 彫刻においてはまだしも、モニュメント(記念碑)としての機能はあったものの、それもまた公共空間において、人によっては醜悪と捉えられるようになっているのが現状であり、このことは同時に、彫刻というもののコンセンサスを確立することが不可能であることを、結果的に示しているだろう。
 のっけからネガティヴなことを書き連ねたが、以上のような前提を共有した上で、それでもなお「彫刻」としか呼びようがない営みを、堅実に継続している彫刻家が存在することを、踏まえる必要がある。湯川隆は、西洋の文脈における正統的な彫刻作品を、頑固なまでに創り続けている彫刻家として、ひとまず捉えるべきだからだ。とはいえ湯川の近年の作品の企(たくら)みには、彼が構想するヴィジョンを実現するための、新しいアイデアが組み込まれていることには気づいておいたほうがいい。
 今回の展観もそうであるが、ほとんどの作品において、木のボディーに彩色されたテラコッタの頭部が接合されている。あまりにも違和感がないため、大した問題ではないと考えてしまうかもしれないが、決してそうではない。もし、木とテラコッタの複合ではなく、例えば木彫のみによる作品であれば、あるいはテラコッタのみによる作品であれば、いずれにしても、木、ないしテラコッタの素材それ自体が、強く自己主張するはずだ。湯川は木とテラコッタを慎重にアレンジすることで、素材主義に陥ることを結果的には回避しているのだ。
 ではなぜ、そのような手続きが必要なのか。湯川が造るのは人体像であるが、人体が人体らしく存在するためには、材料ではなく「魂」のようなものをそこに感知させねばならない。魂という物質ならぬ感覚は、微細な動作によって与えられている。風になびくような、あるいはふと考えるような湯川の人物像の仕草は、それが大げさではない、微細な所作であるがゆえに、作品と対面する鑑賞者の心を動かさせる。そしてその心理的な動きは、幾ばくか人間を超越したような存在者との対面にも似ている。
『沖縄タイムス』2017年9月20日
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# by rnfrst | 2017-10-02 11:47

「TRAILer 佐々木友輔作品上映」9月16日@BARRAK

「沖縄戦」をテーマにした、映像作家の佐々木友輔さんの『TRAILer』、年頭の東京・イメージフォーラムでの上映に続き、ようやく沖縄でも公開できる運びになりました。これは、地元沖縄の方々にぜひ観ていただいたいので、どうかご来場をお待ちしております!!

「TRAILer 佐々木友輔作品上映」
映画を通じて人間の生きる場所と風景の問題に取り組む映像作家、佐々木友輔による作品『TRAILer』(2016年)の沖縄初上映。沖縄戦を手がかりとして、映像とテキスト、声と音楽が多層的な場所のイメージを形成する。佐々木の過去作品である『新景カサネガフチ』(2010年)も同時上映します。
日時:2017年9月16日(土) 18:00~
場所:BARRAK(沖縄県那覇市大道35-5)
上映作品:『TRAILer』(2016年)、『新景カサネガフチ』(2010年)
※上映終了後、佐々木友輔×土屋誠一・トーク
料金 500円
問い合わせ 070-5555-0142 tsuchiya@okigei.ac.jp

[作品紹介]
『TRAILer』
デジタル/50分/2016年
制作: 佐々木友輔
朗読: カニエ・ナハ
朗読脚本: 土屋誠一
音楽: 田中文久
内容:1945年の春。米軍が読谷村・渡具知から沖縄本島に上陸し、同年6月に摩文仁の丘で日本軍の組織的抵抗が終了した。2015年の冬。私は渡具知ビーチと沖縄平和祈念公園を検索し、GoogleMapだけを頼りに、2点を結ぶ撮影の旅に出た──。初めて訪れた土地のイメージと、その土地に抱いてきたイメージの距離を探る〈場所映画〉の最新作。

『新景カサネガフチ』
デジタル/69分/2010年
制作: 佐々木友輔
朗読: 菊地裕貴
出演: 石塚つばさ
音楽: 田中文久
2011年、関東鉄道常総線に新しい駅ができて、その土地の名前も「ゆめみ野」に変わった。街のめまぐるしい変化に寄り添って暮らしてきた一組の夫婦は、ある出来事をきっかけにして、街の歴史と夫婦の時間を、交差させ、かさね合わせるようにしながら追憶していく。そこに浮かび上がってくるのは、いつか夢に見た景色――累ヶ淵。『夢ばかり、眠りはない』に続く〈風景映画〉。

http://barrack.strikingly.com/
https://ja-jp.facebook.com/barrack.203/
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# by rnfrst | 2017-08-17 18:12

北島敬三WORKSHOP写真塾 公開講座「「群写真」考」10月7日@photographers' gallery

下記のような講座を担当します。
ハードな内容でいまからドキドキしていますが、ぜひご来場を。

北島敬三WORKSHOP写真塾 公開講座「「群写真」考 東松照明におけるモダニズムの条件」
内容紹介(文責土屋):私たちは写真という芸術と向き合う際、つくり手であれ鑑賞者であれ、「写真の編集」という事態と無関係ではありません。複数の写真を、連続的なストーリーとして、あるいはゆるやかな想起の連合として、さらにあるいは写真の複数形はカッコに入れて単一のタブローのように、それを強く意識するとしないとにかかわらず、内面化された様々な慣習にしたがって扱っています。「群写真」とは聞きなれない用語かもしれませんが、日本における「戦後写真」の最重要人物であった東松照明(1930-2012)が提唱した、写真の編集法についての画期的な概念(1970年)です。しかしながら、これがいかなるシステムであるのか、ほとんど理解されていないのが現状であり、そもそも東松自身、どの程度自覚的に方法論を組み立てていたのかさえはっきりしない曖昧な概念です。今回の講義では、この概念の概略を説明しつつ、その成立のあらましを、東松におけるその時代との、そして東松周囲の環境との関係を踏まえつつ歴史的に辿ります。そしてこの概念が今日どの程度使用可能性を持つのか否かを問い、その後の土屋、倉石、北島によるトークでは、写真の編集上の扱い方の議論を行うとともに、戦後日本において展開されてきた写真表現のハードコアを把握することを目論みます。

開催日:2017年10月7日(土)
会場:photographers' gallery
講演:土屋誠一 16:00-17:00
鼎談:土屋誠一、倉石信乃、北島敬三(司会) 17:10-18:30
聴講費:2,500円
定員25名・要予約
※本講座の聴講は、北島敬三WORKSHOP写真塾の受講生を問わず、どなたでもご参加いただけます。
※ご予約後、お客様のご都合によりキャンセルされる場合はお手数ですがご連絡をお願い申し上げます
連絡なしでご欠席の場合、後日聴講費をご請求させていただく場合がございます。スペースの都合上、定員に限りがありますゆえ、なにとぞご協力とご理解をお願い申し上げます。

http://pg-web.net/documents/lecture/workshop-lecture/
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# by rnfrst | 2017-08-15 07:16

石川竜一×川島小鳥「写真は“いま、ここ”を撮るべきなのか?」(聞き手:土屋)『美術手帖』2017年9月号

私が聞き手を務めた、表題の対談が掲載されています。
ぜひご一読ください。

http://www.bijutsu.press/books/2017/08/-179.html
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# by rnfrst | 2017-08-14 11:00

特別講座「美術からみた「演劇性」再考 日本における新劇ムーヴメントを中心に」9月8日@美学校

ここ数年、毎年お招きいただいている「宥学会・遊学塾」でレクチャーします。
ぜひご来場を!

特別講座「宥学会・遊学塾 」第42回「美術からみた「演劇性」再考 日本における新劇ムーヴメントを中心に」講師:土屋誠一

昨今、演劇ブームの様相を呈していますが、歴史的に振り返ってみても、日本における美術のアヴァンギャルドの周囲にもまた、演劇というジャンルは常に影響少なからぬ要因として関わってきたと思われます。美術批評家/美術史家のマイケル・フリードによる、パラゴーネ(ジャンル弁別)としての「シアトリカリティ」概念はあまりにも有名ですが、歴史的には弁別よりもむしろ、ジャンル横断のほうこそが、確実な成果を生んできたと言えるでしょう。今回の講義では、「築地小劇場」を代表例とするいわゆる「新劇」を改めて振り返ることで、美術において「演劇」とは何かを考えてみつつ、今日の芸術における参照項となることを目論みます。

プロフィール
土屋誠一(つちや・せいいち)
1975年生まれ。美術批評家、沖縄県立芸術大学准教授。共著に『絵画検討会2016』(アートダイバー)、『現代アート10講』(武蔵野美術大学出版局)、『批評 前/後 継承と切断』(ユミコチバアソシエイツ)など。

日程:2017年9月8日(金)
時間:19:00~
場所:美学校 本校(東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル3F)
参加費:1500円
申込み:受講申込みは不要です。直接美学校にお越しください。
問合せ:宥学会 yugakukai@mbr.nifty.com

http://bigakko.jp/opn_lctr/omega/042
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# by rnfrst | 2017-08-12 17:24

研究会「今、写真を考える」8月29日@同志社女子大

下記の研究会において発表します。
倉石信乃さんと同じパネルで、前川修さん、佐藤守弘さんという最強布陣を迎えてディスカッションという、俺、死ぬんじゃないだろうか(笑)という神感がありますが、めずらしく関西圏での登壇なので、どうぞお越しいただければ幸いです。

研究会「今、写真を考える」
日時:8月29日(火)15時から
会場:同志社女子大学今出川キャンパス純正館308教室

報告:
15時~15時40分
土屋誠一(沖縄県立芸大)「われわれは何をもって〈写真〉とみなすのか 写真の条件の(再)確認」
15時45分~16時25分
倉石信乃(明治大学)「島嶼性と写真記録」
ディスカッション:
16 時40 分~18 時
報告者+司会 前川修(神戸大学)
コメンテイター 佐藤守弘(京都精華大学)

共催:科学研究費補助金 基盤研究(B)「アウタースペース/インナースペース/インタースペース・アートの美学」研究代表者 前川修(神戸大学)研究課題番号17H02286
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# by rnfrst | 2017-08-06 18:39

レクチャー「アートにおける「バラック」を「BARRAK」で考える」7月29日(土)@BARRACK

下記のようなレクチャーをやることになりました。
手塚太加丸らが運営するBARRACKが、新しいスペースを拡充して活動を開始しているので、その理論的文脈強化というか、キックオフというか、私からのご祝儀というか。
私としては沖縄では珍しく、日本における美術(いや、多分他のジャンルにも言及せざるを得ないと思いますが)の「アヴァンギャルド」について語りつつ、現在形の話に接続する予定なので、普通に勉強になると思われます(プロ除く)。
というわけで、ぜひご参集を!

アートにおける「バラック」を「BARRAK」で考える
講師:土屋誠一

 沖縄で活動を開始した共同制作スペース「BARRACK」は、2014 年に活動をスタートし、2017 年7 月から、新しいスペースを運用開始します。これまでの活動を振り返りつつ、これからの新しい展開に全力をつくすために、スペースの名前である「バラック」にちなんで、その美術史的コンテクストについて、美術批評家の土屋誠一さんをお招きし、レクチャーイヴェントを開催します。

日時:2017年7月29日(土)18時-20時
場所:BARRAK(沖縄県那覇市大道35-5)
駐車場はありません
入場料無料(1ドリンクオーダーをお願いします)

講師よりの概要説明
「スペースがオープンしてから、BARRACK の活動を追ってきましたが、このスペースの名前がずっと気になっていました。すれっからしの美術批評家からすれば、その名称は大正時代の「前衛」の人々がかかわった「バラック装飾社」を想起するからです。世界全体が不安定な情勢である今日、関東大震災というカタストロフィを引き金としてスタートした「バラック装飾社」は、短命ではあったものの、この時代に芸術が何ができるかを考えるために、表現ジャンルを横断した、集団(コレクティヴ)的活動を展開する上でのヒントが多く含まれていると思います。「バラック装飾社」に参集した、今和次郎、吉田謙吉、あるいは「MAVO」を率いた村山知義らの仕事を振り返りつつ、美術、建築、演劇といったジャンルの横断と、危機的状況下において表現活動をいかに展開させるか、その可能性について考えたいと思います。」(土屋誠一)

土屋誠一
1975 年生まれ。美術批評家、沖縄県立芸術大学准教授。著書(共著)に、『現代アート10 講』、『批評 前/後 継承と切断』、『拡張する戦後美術』など。

https://ja-jp.facebook.com/barrack.203/
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# by rnfrst | 2017-07-23 15:11

山内昌也『渓の響』発売中

琉球古典音楽の野村流師範(歌三線)で、私の勤務先の同僚でもある、山内昌也さんの表題の独演CDが発売されました。
私はブックレットに「『渓の響』によせて」というライナーノートを寄稿させていただいております。
ぜひご購入を!といっても、自費出版盤であるため、購入するための情報が、ネットのどこにも落ちていない……(汗)。
というわけで、ご購入希望の方は、私の連絡くだされば山内さんに繋ぎますので、そういうことでよろしくお願いいたします!
ちなみにお値段、フルアルバムで2500円(税込)と、大変お安くなっております。
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# by rnfrst | 2017-05-31 16:50

トークイベント「美術館という地雷原 それらは不発のままで保たれうるか?」6月2日(金)@ゲンロンカフェ

表題のイベントに登壇します。
超重要な話をしますので、ぜひご来場ください。

「美術館という地雷原──それらは不発のままで保たれうるか?」
登壇者:岡﨑乾二郎 × 岡田温司 × 土屋誠一
日時:2017年6月2日(金) 18:30 ~ 21:00(開場17:30)
場所:ゲンロンカフェ
【イベント概要】
ここ数年、美術に対する相次ぐ表現規制は、美術館という機関においてもまた無関係ではない。とりわけ日本国内においてのそれは、かつてから懸念されていた制度的疲弊を、結果的に明白するものとなった。
美術館に対する露骨な軽視は、確かにこの国の文化的民度を示しているかもしれない。とはいえ美術の側から、美術館を擁護する有効な手立てがとられていない上、美術館経営においても、危機意識が共有されていないことがはっきりしたのではなかろうか。
今回のイベントでは、美術家かつ美術批評家でもある岡﨑乾二郎、美術史家である岡田温司、表現規制への反対論陣の形成にかかわってきた批評家の土屋誠一の3人が、ここ数年の動向を批判的に総括しつつも、「美術館」が本源的に持つポテンシャルを議論する。

http://genron-cafe.jp/event/20170602/
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# by rnfrst | 2017-05-19 07:47