IE9ピン留め
トップ
rainforest
stsuchiya.exblog.jp
芸術学専攻卒業論文発表会
卒業シーズンが近づいてきました。
さて、私が所属する沖縄県立芸術大学の芸術学専攻で、表題のような催しを行います。
学部の卒業生ゆえ、つたない研究発表になるかと思われますが、大学4年間で学んだ集大成の発表で、若くフレッシュな思考過程が目撃できるのではないかと思われます。
どなたでもご参加いただけますので、ぜひご来場ください。

「芸術学専攻卒業論文発表会」
日時:2012年2月11日(土)13:00-
場所:沖縄県立芸術大学 首里当蔵キャンパス 一般教育棟3階 大講義室
発表題目
「祭祀道具の装飾に見る琉球の王権と信仰 左三つ巴紋を中心に」
「海北友松と禅宗 禅宗祖師図制作の意義と動機」
「アンリ・カルティエ=ブレッソンの初期写真作品に見られるシュルレアリスムの影響」
「メトロポリタン美術館所蔵ルカ・シニョレッリ作《聖母子像》について 背景の文様の成立と意味」

http://www.okigei.ac.jp/geijutsu/News.html
# by rnfrst | 2012-01-28 20:45
美術月評〈11月〉
 「粟国久直展 Cube-Babel 2」(画廊沖縄、11月18日~27日)で発表された、映像インスタレーションの作品〈CROSSING 交差するまなざし〉は、粟国と土江真樹子、大山健治の3人による共同制作によるものである。作品が主題とする舞台は、沖縄戦時の激戦地であった「シュガーローフ」であり、作品となった映像には、その現在の場所である那覇新都心の光景に、当時の戦闘中に撮影された記録映像が織り込まれている。粟国は映像作品の制作に先立ち、展覧会名と同名のタイトルを持つ、長大な近未来SF的物語を執筆しており、この物語をいわば「原作」として、今回の作品が作り上げられたという。
 とはいえ、この映像作品は、明確な物語性を持っているわけではない。1945年のシュガーローフと現在の新都心との連なりが示唆されているのにとどまり、そのメッセージはあくまで暗示的である。主題は確かに沖縄戦という個別性を伴っているものの、粟国が射程とするのは、今日まで引き続く、近代とりわけ第2次大戦以降の「戦争」一般であるといったほうが正確であろう。さらに、粟国の考察は、戦争にかかわる人間存在が主題になっているというよりもむしろ、非人間化された戦争テクノロジーへの関心に向かっているようであり、恐らく大山の貢献が大きいであろう、高解像度の映像や音響と相まって、非人間的な感覚が際立つ。
 このような脱ヒューマニスティックなアプローチは、今日に至るメディア・テクノロジーの発達による視聴覚環境を享受する我々の時代感覚と無縁ではないであろう。そのようなテクノロジーへの感覚が、粟国の想像力をSF(それ自体、テクノロジーの発展と不可分である物語的想像力に根差す)的な想像力へと導いているように思われる。ゆえに、この作品は、ヒューマニスティックな戦争批判でもなければ、ましてや戦争賛美でもない。そうではなく、良くも悪くも触知的なリアリティと懸隔を持つ、今日のメディア環境下における我々の時代認識の様態と、それと並行する脱ヒューマニスティックな「戦争」への考察なのである。そのような「戦争」との距離感は、現代における倫理的判断であると言うべきだ。
 一方、同じく戦争が主題であるといってよい「真喜志勉個展」(MAX PLAN、10月19日~11月19日)は、より個別具体的な事象を、その作品において扱っている。「I LOVE MARILYN, NOT MARINE」(愛するのはマリリンであって、マリーンではない)と副題的に示されたダジャレ的言辞の通り、米軍の海兵隊への揶揄が込められている。とはいえ、真喜志のアメリカに対する態度は、両義的である。この個展で展示された作品は、黒い箱状の支持体の底面に、V22オスプレイなど、沖縄の米軍基地への配備が取り沙汰される軍用機の図像と、映画『七年目の浮気』での、マリリン・モンローのスカートが風で舞い上がる有名なシーンの図像がコラージュされたオブジェであり、ほとんど同形のそれら数十点が、反復的に展示された。このような図像の反復的な使用は、アンディ・ウォーホルのそれをすぐさま想起させるように、「アメリカの」ポップアートがその着想源になっているのは明らかである。真喜志のアメリカ文化に対する強烈な愛着は、射出された精液をあからさまに想起させる作品の表面に飛び散らされた白い絵具が示すように、根深いのであろう。しかし、世界におけるアメリカの文化的プレゼンスと、例えば沖縄における米軍の軍事的プレゼンスがパラレルな関係にあることは真喜志自身も深く了解しているはずである。このような両義性を、愛憎といったような情念によって示すのではなく、マリリンとマリーンを掛けあわせるダジャレ的なユーモアによって提示する作法にこそ、真喜志の作品の持つ批評性が発揮されていると言って過言ではないだろう。
 「石川真生写真展 日の丸を視る眼」(galleryラファイエット、11月3日~13日)は、先頃刊行された同名の写真集にあわせて開催された。日の丸という「日本」のシンボルをめぐって、右派左派問わずパフォーマンスを行う被写体を捉えたシリーズであるが、主題としては勿論、日の丸をめぐるイデオロギーが問題とされている。しかしそれだけではなく、被写体との共犯関係によって創りだされるこれらの写真群には、党派を問わず「人間」という存在に対して深くまなざしを向ける、この写真家の特質が強烈に刻印されており、そこでは政治的な立場を越えた、さまざまなる「人間」が確かに捉えられている。その点においてこそ、観る者は揺さぶられるのである。
 「石垣克子展2011 コルクのひととき」(galleryラファイエット、11月23日~12月4日)は、コルクをモティーフとした近年のシリーズのさらなる展開が示された。石垣は描くいかなる対象であれ、擬人化してしまうというまれな才能を持つ画家であるが、この個展でも、その特質が際立っていた。擬人化されたモティーフは、ひとつひとつの作品においてコミュニケーションを行っているが、このモティーフ相互の関係性は、複数の作品を越えて、連鎖的な関係を取り結ぶ。この関係性の連鎖こそが、石垣の作品群を豊かな集積にしているのである。
 石川竜一、浦田健二、須藤系、平良亜弥、吉濱翔が参加したグループ展「Open Okinawa 沖縄 幕開け!展」(space tropical、11月26日~12月4日)は、この展覧会を企画した介川貴晶のキュレーション力が、残念ながら乏しかったと言わざるを得ない。しかし、30歳以下の若手アーティストに限定したこの展覧会が、世代の更新をもくろんでいるのは明快であり、このようなチャレンジングな取り組みが、継続して展開されることを期待するものである。
 その他、喜屋武千恵、組久美、山城芽による「ぐるぐる 絵本原画展」(GARB DOMINGO、11月19日~27日)、「鈴木淳 大沖縄」(GALLERY point-1、11月19日~12月4日)、「城間喜宏展」(Caféゆくれれ、11月21日~12月4日)があった。

『沖縄タイムス』2011年12月9日
# by rnfrst | 2011-12-12 10:17
『沖縄タイムス』2011年12月9日 「美術月評〈11月〉」
『沖縄タイムス』の本日付の記事として、「美術月評」を寄稿しました。
# by rnfrst | 2011-12-09 07:15
トークイベント「アートとどう関わるか? 実践的芸術関係論」
表題のトークイヴェントに参加します。
このトークは、下記の展覧会の関連企画です。
何を話すことになるのか、私も想像つきませんが、どうぞご来場ください。

Open Okinawa 沖縄幕開け! 展

会期:11月26日(日)~12月4日(日)
会場:space tropical(沖縄市中央1-16-10 2F)
入場料:500円
参加アーティスト:石川竜一、浦田健二、須藤系、平良亜弥、吉濱翔

■概要
2011 年、前島アートセンター(MAC) が解散宣言をし沖縄のアートシーンが転換期を迎えている今、これから私たちアーティストたちに何が必要か、何をすべきなのかを模索していくとともに、新たなアートシーンの幕開けを歓迎するセレモニーとして展覧会を開催。また本展示の会場は、今年から始動した「沖縄アートプロジェクト」の空き店舗再生事業により生まれたアトリエであり、そういった空間から現代アートと沖縄の地域的歴史的特異性との関わり方についても考えていきます。

■関連イベント
【トークイベント&オープニングパーティ「アートとどう関わるか? 実践的芸術関係論」】
日時:11月26日(土)19:00~21:00
ゲスト:藤田千彩、土屋誠一(司会:介川貴晶)
参加費:500円
作品と対峙した時、その体験をどう評価し伝達していくか。それぞれの立場のパーソンが今までの活動を振り返りながらでアートとの関わり方について論議します。トーク終了後にオープニングパーティを行います。

【石川竜一 舞踏公演&クロージングパーティ「石川竜一 舞踏」】
日時:12月4日(日)19:00~21:00
出演:石川竜一
参加費:500円

http://okinawaartproject.blogspot.com/2011/11/20111126-open-okinawa-space-tropical.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
# by rnfrst | 2011-11-03 20:42
『現代思想 2011年11月臨時増刊号』総特集=宮本常一 生活へのまなざし
『現代思想』の臨時増刊号「宮本常一」特集号に、「景観をめぐる時間と空間の政治学 宮本常一/写真/地図」というタイトルの論考を寄稿しました。
この号の詳細は以下URLを。
http://www.seidosha.co.jp/index.php?%B5%DC%CB%DC%BE%EF%B0%EC
# by rnfrst | 2011-10-11 18:50
第7回 芸術学専攻 教養講座
私の所属する沖縄県立芸術大学の芸術学専攻主催で、昨年度同様「教養講座」が開催されます。
今年度は私も講座を担当します。

「第7回 芸術学専攻 教養講座」
場所:沖縄県立芸術大学 附属図書・芸術資料館 1階会議室
日時:平成23年10月14日、21日、28日 18:00〜19:30
入場無料

10月14(金) 西洋中世の象
 講師:尾形希和子

10月21日(金) 復帰前後沖縄における写真表現をめぐって 平良孝七を中心に
 講師:土屋誠一

10月28日(金) 玉那覇正吉と沖縄の公共彫刻
 講師:小林純子

この講座は、私も含む芸術学専攻に所属する教員の、日頃の研究成果を広く発信することを目的としていますが、一般の方や芸術学専攻の受験を考えている高校生の方なども、ぜひご来場いただければと思います。
私自身は、戦後沖縄を代表する写真家の一人である平良孝七を中心とした発表を行いますが、目下この十分に検証や評価がなされているとは言い難い写真家について、複数人での共同研究調査を行っているところです。
今回は、その中間報告的な内容になるかと思われます。

講座全体の詳細については、下記URLをご参照ください。
http://www.okigei.ac.jp/geijutsu/News.html
# by rnfrst | 2011-10-06 20:46
『芸術批評誌「REAR」』26号 「東松照明 堆積する時間の結晶」
中部・東海地域を拠点として刊行されている『REAR』26号に、表題のような東松照明についての論考を寄稿しました。
今号の特集は「写真のドキュメンタリズム」というもので、拙論はそのなかの一つのテクストという位置づけになります。

一般書店に流通している雑誌ではありませんので、入手方法は
http://2525kiyo.cocolog-nifty.com/blog/
を参考にしていただければと思います。
# by rnfrst | 2011-09-08 10:58
「日本の若手アーティスト展」関連企画 金氏徹平トークショー
美術家の金氏徹平さんのトークショー、ということで、金氏さんと対談します。
沖縄県立博物館・美術館での作品展示にあわせてのトークです。
ぜひご来場を。

「見たことがあるようでいて、何だかわからないもの」
金氏徹平の作品「白地図」は、私たちの生活に欠かせない、身近なモノの組み合わせで構成されています。それらをすべて白でカバーリングするとき、粉砂糖のかかったお菓子のような、遊び心に充ちたアート作品が現れてきます。シンガポール・ビエンナーレ(2011年)の招聘を皮切りに、今年もっとも注目を集めるアーティストの金氏氏に、同じく現代のアートシーンにおいて鋭い視点から批評を行う土屋誠一氏が迫ります。
日時:9月9日(金)18:30~20:00
出演:金氏徹平(アーティスト)、土屋誠一(美術批評家/沖縄県立芸術大学講師)
場所:沖縄県立博物館・美術館 博物館講座室(定員100名/当日先着)
主催:沖縄県立博物館・美術館

○金氏徹平
1978年、京都府生まれ。京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業、ロイヤル・カレッジ・オヴ・アート(ロンドン)彫刻科交換留学。京都市立芸術大学大学院修士課程美術研究科彫刻専攻修了。国内外にて多数の個展・グループ展に参加。

○土屋誠一
1975年、神奈川県生まれ。多摩美術大学大学院修了。専門は美術批評、近・現代美術史、写真論。執筆や関心の領域は、現代美術のほか、写真論、メディア論、サブカルチャーに至るまで多岐にわたる。共著に「現代アート事典」(美術出版社)など。

【展覧会概要】会期:2011年9月10日(土)―2012年1月15日(日)
コレクションギャラリー2「日本の若手アーティスト展」では、海外を拠点にする人も含めて、日本を代表する若手及び中堅のアーティストをセレクトしました。
本展覧会で紹介する作品は、マンガやサブカルチャーの反映を眼差そうとするのではなく、同時代のアーティストによる表現の多様性を概観し、多方面にわたる関心のありかを感じ取ろうとする企画です。この機会に、オリジナリティ溢れるアートをご堪能ください。
展覧会担当:豊見山愛(美術館主任学芸員)
# by rnfrst | 2011-09-02 11:09
「あの、2011年8月28日」@トーキョーワンダーサイト渋谷
美術家の雨宮庸介さんの呼びかけによる、下記の催しに参加します。
この催しが一体どのようなものになるのか、当日フタを開けてみないとどうなるか全く分かりませんが、分かっているのは、雨宮さんが中心になって行う仕掛けであるということと、ちょっと普通ではあり得ない顔合わせで何ものかが行われるということです。
私自身は、予定では夕刻からのポストトークに参加するはずです。
1日限りのイヴェント、お見逃しなく。

タイトル:「あの、2011年8月28日」※開催当日以降はタイトルが「併走論」に変わります
開催日時:2011年8月28日(日)11:00-19:00(14:30-15:30はトークを含む。17:00-19:00はポストトークを含む。時間は全て予定です。)
参加:青山悟・雨宮庸介・安齊重男・梅田哲也・O JUN・沢山遼・千葉正也・土屋誠一 (50音順)
展覧会情報:http://www.tokyo-ws.org/archive/2011/07/next---tws10.shtml
会場:トーキョーワンダーサイト渋谷 〒150-0041 東京都渋谷区神南1-19-8
TEL: 03-3463-0603 / FAX: 03-3463-0605
開館時間:11:00-19:00(入場は閉館30分前まで)
アクセス:渋谷駅(JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン/東急東横・田園都市線/京王井の頭線/東京メトロ銀座・半蔵門線・副都心線)各駅より徒歩8分 ※駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。


今回のトーキョーワンダーサイトの展示は震災によって大きく変更されて、今に至っていると聞かされた。
その中で僕にも「何かやってくれ」と依頼が来た。
言うまでもなく3月11日に起きた今回の震災は多くの人命と財産を一瞬で奪い去った忌むべき出来事だ。
同時に、震災は従来の価値観をいともたやすくひっくり返し、暗部を明るみに出し、膨大な絶望を投下し、ついでに少しの希望を与える事さえした。
語弊はあるが、それ、芸術がやりたかったエフェクトじゃないか? 僕が作品でいつかやりたかったエフェクトじゃないか? 僕は震災以来、どこか震災そのものに嫉妬しつづけている。
震災直後にたくさん聞こえてきた「芸術は必要か?」という問いは、震災以前にもそんな問いは成立してはいなかったという意味でとても卑怯で、いつの時代も「芸術は重要か?」が正しい問いなはずだ。「必要」と「重要」は似て非なるものだ。
震災を経て実感する事は、人々のある種のリテラシーレベルが上がっている事だ。口先だけのゲームやただ借りてきたものに付き合う時間は誰にも存在しなくなってしまった。自らの身体を担保に、作品を作る意義とそれを人に見せる意義、そのどちらの意義について理由を開示しながら制作する。そんな手つきだけが説得力を有するようになったように思える。
僕は思い立って「身体を伴って作品と併走している、それが妙なシークエンスを思い描かせる」そんな作り手数人に声をかけさせてもらった。公開制作と呼んで良いのかどうかわからないが、その「画家が絵の前でとる構え」みたいなものを抽出し、それ自体が現在と併走をはじめたら、きっと絵画・彫刻・写真・音楽・パフォーマンスとか、そういったカテゴリーでは捉えられない、新しい腑分けが斜めに一本見通せるはず。そこで手に入れた新しい地図を持ち、改めて世界を見渡したいと思うのは僕だけではないはずだ。

雨宮庸介(呼びかけ人)
# by rnfrst | 2011-08-19 14:21
『美術手帖』2011年9月号 「線描が振り付ける 「MOTコレクション 特集展示 石田尚志」展」
本日発売の『美術手帖』の「REVIEWS」欄に、表題の展覧会評を寄稿しました。
当該展覧会は10月2日まで開催されているとのことですので、未見の方は展覧会をご覧になった上、拙稿もお読みいただければよりベターかと思われます。
# by rnfrst | 2011-08-17 20:45
< 前のページ 次のページ >