ブログトップ

rainforest

stsuchiya.exblog.jp

<   2014年 07月 ( 2 )   > この月の画像一覧

「反戦――来るべき戦争に抗うために」展 展覧会呼びかけ文

「反戦――来るべき戦争に抗うために」展 展覧会呼びかけ文

 2014年7月1日、集団的自衛権の行使容認が閣議決定されました。例えば、近くは、2003年からの自衛隊のイラク派兵など、憲法9条に明白に違反する政策がなされてきたのは事実です。しかし、今回の閣議決定は、日本政府が自発的に「戦争参加が可能な国家」であることを宣言したものであると理解できます。このことは、戦後日本においてまがりなりにも順守されてきた憲法9条において維持されてきた、平和憲法への決定的な裏切りです。日本の自衛力に関しては、様々な立場があり得るでしょうが、今回の熟議を経ないままの強引な閣議決定は、民主主義的な観点から言っても容認すべきではありません。
 このような現状において、美術になにが可能だろうか。美術における何らかの表現行為が、直接的に政治に効力を持つことはほとんどあり得ないだろうし、美術とは必ずしも、政治に対するアジテーションのためだけに存在するものではないでしょう。では、美術にかかわる人間は、自らの立場において何もしなくてもいいのか。勿論、時局に対して拙速な行動を取るべきではないというのもひとつの態度表明ではありますが、このタイミングにおいてなんらかのアクションを起こさないことは、未来の遺恨になると私は考えます。
 そこで、閣議決定の報道がなされた直後、私は突発的に、今回の閣議決定に反対するアクションを起こすべきではなかろうかと考えました。何も、作品やステートメントそれ自体によって「反戦」のメッセージを発する必要はありません。美術がある一定の自律性を持った表現であるとするならば、これまで積み重ねてきた主張を曲げ、反戦のメッセージを作品やステートメントに込める必要はないと考えます。ただ一点求められることは、展示という発表行為で個々の自立した表現者が、名前を連ねることだと考えます。もちろん、美術関係者の名前を並べて意見広告を出すだけでもいいし、あるいはネット上でキャンペーンを打つだけでもいいのかもしれません。しかし、美術に携わる私たちが可能な方法論には、「展覧会」という、特定の場所を一定期間占め、そこで自らの表現行為を発信するという、ほかの芸術ジャンルにはない手段があります。ゆえに、意見広告やデモ行動や署名活動(もちろん、それらを否定するものではないにせよ)ではなく、あえて「展覧会」として世に問うべきなのではないでしょうか。
 この展覧会は、アンデパンダン形式で開催します。展覧会場は東京都内某所で、会期は9月25日(木)から29日(月)です。最初の呼びかけをTwitter上で閣議決定直後に行ったため、既に参加賛同者は集まっていますが、私のこの呼びかけ文を読んで、「降りる」という選択をとる人もいるかもしれません。それもひとつの態度表明でしょうから、そのことを批判したりはしません。
 ともあれ、ノンポリの美術関係者であろうと、今回の集団的自衛権行使容認については、展覧会というかたちで反対の態度をきちんと表明すべきではなかろうか。私はそう考えます。この展覧会は、形式的には私が実行委員長を務めますが、展覧会自体は参加者全員が実行委員として主体的に責任をシェアすることが重要だと考えています。私は今回、一切のキュレーションを行いません。ゆえに、主体的に展覧会に関わる覚悟がないならば、参加は見合わせたほうがいいでしょう。このような展覧会を本気で組織する以上、参加賛同者にも相応の覚悟を持っていただきたい。お友達同士のグループ展気分や、単なるノリで参加するのだったら、それは控えていただきたい。ただ一点、集団的自衛権行使容認に反対し、日本が「戦争参加が可能な国家」となることに反対し、将来的に決して無いとは言えない戦争への突入に対し「反戦」という意思を共有できるならば、参加してください。このことは、日本から現われる未来の美術家や美術に携わる人々に希望を託すことになるはずですし、より広く、将来の子どもや若者たちに希望をつなぐことになると確信しています。
 知ってのとおり、太平洋戦争期には、美術家だけにとどまらず多くの芸術家が、総力戦のうちに動員されていきました。美術も社会と無関係ではない以上、時局の変数に対応し、変容を迫られるものではあります。しかし他方では、表現の自律的な領域を確保しておかないと、個々の表現は単なる社会の反映に過ぎなくなってしまいます。一見いまでは与件として私たちに保障されているかのように見える「表現の自由」など、知らぬ間に奪い取られているかもしれない可能性が潜在している。そして現在、そのような危機的状況は、既に足元にまで迫ってきていると私は考えます。
 私は自らをノンポリと自認していますし、「平和な戦後」しか知らない世代においては、ある程度そのような「ノンポリ」さは共有されていると思います。しかし、自らに与えられた「ノンポリ」さに甘んじて、「華麗にスルー」している場合ではない局面に至っている。今こそ行動の時です。
 この呼びかけ文に賛同し、参加を表明する美術関係者は何らかの方法で私に連絡を下さい。この呼びかけで集まった参加者に対しては、私は実行委員長として、展覧会の会場の準備、広報活動の実施について責任を負って遂行することを約束します。

2014年7月31日
「反戦――来るべき戦争に抗うために」展 展覧会実行委員長 土屋誠一

※参加の表明は、展覧会期の都合上、8月13日(水)までにお願いします。
[PR]
by rnfrst | 2014-07-31 09:36

露光研究発表会 2014

ツイッターなどでも告知していましたが、こちらにも情報転載します。
「露光研究発表会2014」のプログラムが出ました。
私はこの研究会では、同僚の喜屋武盛也さんと共同して実行委員の立場として運営・参加します。
本土から離れた沖縄にもかかわらず、こんなにも多くの発表者に恵まれ、予定していた会期を一日延ばさざるを得なくなったほどの盛況となっております。
どなたでも聴講いただけますので、沖縄県内外問わず、ぜひご参集を!

詳細についてはホームページを逐次ご覧ください。

露光研究発表会2014

1. 会期
2014年9月6日(土)・9月7日(日)・9月8日(月)
2. 会場
沖縄県立芸術大学首里当蔵キャンパス 一般教育棟3階大講義室
3. 主催
露光研究発表会2014実行委員会

露光研究発表会2014 研究発表プログラム

第一日目 2014年9月6日(土)
10:00 開場:受付開始
10:30 挨拶
◎研究発表(発表30分、質疑10分)
10:40~ 黒田清輝《野辺》について ──草むらに横たわる裸婦像の系譜── 清水友美(成城大学)
11:20~ 映像における身体イメージの拡がり──アピチャッポン・ウィーラセタクンの諸作品における光と影をめぐって── 中村紀彦(神戸大学)
12:00~13:30(昼食)
13:30~ 21世紀の東京における記念建造物の可能性 ──塔と都市── 天内大樹(静岡文化芸術大学)
14:10~ 1988年の巨大な遊技空間 ──写真史の区切りについて── 田川莉那(京都市立芸術大学)
14:50~ ゴードン・マッタ=クラークの写真作品に関する一考察 ──異なる場における作品比較を中心に── 居村匠(神戸大学)
15:30~15:50(休憩)
15:50~ 壁とページ ──エリ・リシツキーの制作をめぐって── 河村彩(日本学術振興会)
16:30~ 1920-30年代の精神疾患流行と古賀春江《涯しなき逃避》をめぐって 高橋愛子(東京工業大学)
18:30より 夕食会(有志):場所未定(当日アナウンス致します)

第二日目 9月7日(日)
◎研究発表(発表30分、質疑10分)
10:00~ 「芸術作品は非現実的なものである」というテーゼについて ──初期サルトルにおける芸術作品の存在論的身分と美的経験論── 森功次(日本学術振興会)
10:40~ 博覧会から展覧会へ ──写真家のための写真展覧会と「絵画的写真」の形成── 遠藤みゆき(早稲田大学)
11:20~ 写真アルバム試論 ──語りの「場」としてのアルバム── 安田和弘(早稲田大学)
12:00~13:30 (昼食)
13:30~ 『ku:nel』的地域文化誌が見せる「ライフスタイル」考 阿部純(福山大学)
14:10~ 19世紀ドイツのアルブレヒト・デューラー受容における、作品の位置づけ──ヘルマン・グリムの芸術論から── 三井麻央(岡山大学)
14:50~ 休憩(10分)
15:00~ 八月の光 ──東松照明と長崎── 林田新(京都市立芸術大学)
15:40~ 第二次世界大戦後のアメリカにおけるルネ・マグリットの受容 ──芸術家と依頼主の関係を背景として── 利根川由奈(京都大学)
(16:20~17:30 懇親会参加者は各自移動)
17:30~20:00 
◎懇親会・ビーチパーティ(※悪天候の場合変更の可能性あり)
 於 宜野湾トロピカルビーチ(予定)

第三日目(9月8日(月))
◎研究発表(発表30分、質疑10分)
10:00~ 日本近代における南洋の表象 ──女性像を中心に── 大城さゆり(沖縄県立芸術大学)
10:40~ 作業療法における造形活動 ──作品から見える活動の意義── 照屋盛之(沖縄リハビリテーション福祉学院)
11:20~ 『あまちゃん』のデザインと「稚拙さ」の居場所 加島卓(東海大学)
12:00~13:00 昼食
◎エクスカーション
13:00 出発
訪問予定地:佐喜眞美術館、嘉数高台公園、南風原文化センター
17:30 解散 於モノレール牧志駅
[PR]
by rnfrst | 2014-07-23 21:30