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現代アート研究会・沖縄 vol.10「美大生のための、現代美術入門」黒瀬陽平×土屋誠一

黒瀬陽平さんをお招きして、対談いたします。
「美大生のための、現代美術入門」とは、恐らく文字通りの「入門」と捉えると大間違いで、私のような芸術大学の教員の立場からしてみれば、挑発だと思っております。
勿論、それは悪意からではなく、良き挑発だと思っておりますので、この若き論客を迎えて、なんとか抵抗線を展開できればと考えております。
ともあれ、ぜひご来場を!
ちなみに当日は、USTで中継をする予定です。

現代アート研究会・沖縄 vol.10
美大生のための、現代美術入門

黒瀬陽平(美術家/美術評論家)×土屋誠一(美術批評家/沖縄県立芸術大学准教授)

開催概要:ゼロ年代から10年代、ポスト3.11から東京オリンピック、めまぐるしく移り変わってゆくかに見える時代状況のなかで、「現代美術」はどのような存在であるのだろうか。2010年から現在まで「カオス*ラウンジ」を率いて活動する美術家、美術評論家の黒瀬陽平と土屋誠一が語り合う。

日時:2015年5月11日(月) 18:00~19:30
会場:沖縄県立芸術大学 首里当蔵キャンパス 一般教育棟 大講義室
入場料:無料(どなたでもご入場いただけます)
連絡先:沖縄県立芸術大学 土屋研究室  tel:098-882-5026  e-mail:tsuchiya(at)okigei.ac.jp

講演者略歴
黒瀬陽平(くろせ・ようへい):1983年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程修了。『思想地図』公募論文でデビュー。2010年に「カオス*ラウンジ宣言」を発表後、アート集団「カオス*ラウンジ」のキュレーションを継続して手掛ける。最近の「カオス*ラウンジ」による展覧会として「キャラクラッシュ!」展(2014年)。2015年4月より、「ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校」をスタートし、アーティスト育成の新しい方法論の構築と実践にも着手している。著書に『情報社会の情念』(NHK出版、2013年)がある。
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by rnfrst | 2015-04-29 15:48

「戦後沖縄美術文献情報データベース」公開

表題のデータベースを公開しました。
まだβ版で、完全ではないのですが、どうかご利用いただければ幸いです。
ちなみに、「戦後」といっても1945年から今日までを網羅するとキリがないので、ひとまず1945年から、沖縄が本土に「復帰」する年の1972年までの情報、というものになっています。

https://sites.google.com/site/opuoageijutsu/link/1
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by rnfrst | 2015-04-14 05:57

「ビザール沖縄 石川竜一の作品についての少しのコメントと、多くのボヤき」『10+1 web site』2015年4月

表題の拙論がアップされました。
ぜひお読みください。

http://10plus1.jp/monthly/2015/04/index04.php
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by rnfrst | 2015-04-10 01:18

美術月評〈3月〉

 「YAKENA1129 Exhibitin」(沖縄県立博物館・美術館県民ギャラリー、3月17日~22日)は、うるま市の屋慶名に共同スタジオを構える4人の作家、安慶名光哉、金城徹、児玉桂、児玉美咲による、那覇での出張展覧会のような取り組みであった。
 彼らの作品はどれも完成度が高く、ホワイトキューブの会場も相まって、とても美麗である。着々と作品を発表しつづけている、金城や児玉美咲の作品は、特にそうだ。
しかし、作品の意味内容はいささか深みを欠いているのは事実である。彼らの作品は、一見するとポエジーに溢れているが、そのポエジーがどういった理念や思想を持っているのかと問えば、あまりにも私性に寄り過ぎていて、普遍性がない。
 大きく言えば、美術作品は、先行する美術の歴史や理論に対して新たなる視点を付け加えるか、あるいは美術作品の物質性と格闘するか、またあるいは、例えば沖縄の風土や政治状況と深く切り結ぶか、おおよそそのような選択肢の中で、どのように制作行為を差し向けていくかにかかっていると言えるだろう。
 彼らの作品は、先行する美術作品への参照があからさま過ぎるし、物質的な魅力に乏しいし、場所性や社会的問題への提起としても、どうも中途半端なのである。
 このように苦言を呈するのは、彼らの活動を切り捨てるゆえではない。彼らの真摯な取り組みには一定の敬意を表するが、だからこそその中途半端さがもったいないのだ。それゆえに、彼らの活動が今後どういった方向に舵を切るのか、注視したいと思う。
 「ぬQ リョ~ヨー~」(One’s Room gallery & studio、3月20日~29日)は、近年注目を集めている、ローテクな「お絵描き」を公開するインターネット上のコミュニティから登場した、アーティストの個展であり、ぬQ本人は個人のアーティストとしての活動から商業ベースの仕事まで、幅広く手掛けている気鋭の若手作家である。
 光学ディスクの裏面に画像を貼ったトンド形式の作品や、アニメーション作品のプロジェクションなど、狭い会場で多角的な形式の作品を展示していたが、私が惹かれたのはキャンバスに画像を出力して、ほんのちょっとだけ手作業で加筆しただけのタブローである。
 正直に言えば、絵自体が面白いというわけではない。そうではなく、一般的には手作業で描かれるべきと思われるキャンバスに、プリンターで画像を出力したものをタブローとするということ自体が、あたかも泰西名画の複製画が持つキッチュさに繋がっているところが興味深い。
 このようなキッチュさは、インターネットという情報のインフラのなかに生きる今日のリアリティーの表出としては、極めて正当的であり、作品としては「貧しい」けれども、それでもなおキッチュであることが本来的であると明確に企図されており、すがすがしさすら感じる。このようないわば「本気のヌルさ」は、今日的な表現の問題として、真剣に考えるに値するものであると思われる。
 「丹治莉恵 ZONE」(galleyラファイエット、3月21日~29日)は、別の機会(『琉球新報』3月26日)でも論じたので、簡潔にだけ触れるが、オーソドックスな抽象彫刻に見せかけながら、作品の裏と表、建築と非建築、幻影と現実といった両義性を作品において提示していた点で、非常に興味深いものであった。この福島に故郷を持ち、沖縄を拠点に活動するという困難さを引き受けている作家の活動には、今後も注目していきたい。
 「儀間朝龍 POP COLLAGE vol.1」(GALLERY point-1、3月21日~4月5日)は、儀間のトレードマークである段ボールの廃材がいつもと同様の素材として扱われていたが、新しい展開を見せていた。これまでは、廃材の素材感や意匠をそのまま提示することが多かったと思うが、今回は、廃材から切り出した極めて細かい切片を貼り合わせて、再び缶や瓶詰といった大量消費食品の意匠を再現するという、手間のかかる手続きによって作品を作り上げていた。結果的に、再現される意匠は綺麗に復元されるわけではなく、むしろ壁に糊付けされたポスターを引き剥がしたような、ボロボロの見た目になっており、そのことは結果的に、消費経済とそのリミット=死を提示していたように思う。儀間は、ポップアートの可能性を今日的に展開する作家として、沖縄では稀有な存在であることは間違いない。
 「染色回遊 vol.2」(沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館、3月25日~29日)は、染色家であり沖縄県立芸術大学で教鞭を執っている名護朝和を中心として、同大学の教員や卒業生、在学生によって組織されているグループ展である。芸術大学のような高等教育機関において、このように作家性を強く押し出した染色の展覧会を継続していくことは、極めて有意義なことであり、興味深い作品も少なくなかったが、とりわけ注目したいのは坂野有美の作品である。カリグラフィックなストロークを染めたパネル張りの作品だが、連続的なパターンを使用することの多い染色という技法において、むしろ一回性が強調されるカリグラフィックな意匠を持ち込むというアイディアは、新鮮であった。坂野の作品では、染色、抽象絵画、書といったそれぞれ異なるコンテクストがひとつの作品のなかに同居しており、染色の新しい展開可能性を示していた。

『沖縄タイムス』2015年4月3日
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by rnfrst | 2015-04-05 03:30